ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第43章 異世界ピクニック
私は中々治まらない熱を懸命に逃がしながら料理を作った
いつの間にか購入されていたフリルが可愛いエプロンを身に付けてレシピ本とフライパンを代わる代わる観察しながらも彼の的確な補佐により見栄えは美味しそうな物が出来上がった
彼は補佐というより分量を計るのが楽しかったらしくレシピ本通りに調味料を用意してくれた
購入したばかりの黒いお弁当箱と実家から持ってきたお弁当箱に料理を詰め込めば目にも鮮やかなお弁当が完成する
「よし!夕飯の作り置きも出来ましたし、行きましょう!」
「うん。」
足取り軽くホテルを出たのだが突然彼に抱えられて驚いてしまう
「イルミさ「走るから掴まってて。お弁当落とさない様にね」
「え?」
彼は言うなり猛スピードで走り出し流れる景色の早さに目が回る
風の抵抗も相当な物でぎゅっと彼の服を握れば私を抱いている腕にしっかりと力を込めてくれた
…………私はピクニックという言葉から彼と二人仲睦まじく徒歩で山でも登るのかと思っていた
その為に足元はスニーカーにしたのだが
今私は滑走する彼にしがみ付き、お弁当を落とさない様に必死に成っている
スピードと相反して揺れは比較的少ないが見渡せば見える景色はあっという間に緑に変わり坂を登っている様子だ
彼の身体能力の高さを痛感しながらもどれだけ彼が滑走したのか
足を止めた彼は突然高い木を片腕で登り始め、途端に地面を離れる恐怖は高層ビルのトラウマを思い出させた
50階近いビルを飛ばれては元々高所が怖い私は最早トラウマに成っている