ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第42章 困惑の購入物
「イルミさん」
「何。」
「さっき買ったやつ」
「………………うん」
「どういう用途で………」
「…………え…………」
私の言葉に珍しく戸惑いを見せた声色に彼を見上げれば彼は困惑した様な表情を浮かべていた
「用途って……ひとつしか無いでしょ」
ひとつしか無いと言われても私は毒と関わり無く生きてきたので一般常識だろ、みたいな顔をされても困ってしまう………
「混ぜるのか直接飲むのかは教えてください、私の命に関わります」
しかし私の言葉を聞いた彼は更に困惑した表情を浮かべて 飲む と呟きを落とした
………………………………………もしかして錠剤や粉タイプでは無く注射器タイプ………的なものなのだろうか……?
それならば私が命の危機に瀕する事も無いし料理に混ざる事も無い……
注射器を見てどういう用途だと聞かれたなら確かに一般常識だろ、という顔をされても当然の様に思った
……………私はどうやら勘ぐって空回りしてしまったらしい………
「すみません!射すタイプですか?注射器みたいな!」
「…………挿す………タイプって言うか………注射器………」
未だ困惑した様子の彼は歯切れ悪く答えたのだが先程から違和感がモヤモヤと広がる
……………もしかして購入物は毒でも何でも無く只の薬だったのかもしれない…………
そうなればそもそも命の危機だとか料理に混ぜるだとか馬鹿な発言だと考えながらも口から出た言葉は思考に追い付かず
「すみません私勝手に料理に混ぜるのかと……」
………馬鹿の上塗りをしてしまった
チラリと彼の様子を伺うと露骨にしかめられた眉に自身の発言を後悔する
私は元々彼に馬鹿だと思われているし自分でも自覚している
しかしここまで馬鹿だったとは呆れられているに違いない
「………そんな事する訳無いじゃん。沙夜子ってアブノーマルな趣味なの?」
「え!いや……………?!」