ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第42章 困惑の購入物
翌日
目覚めると彼はソファーに体重を預けてニュースを見ていた
湯気の上がるコーヒーカップを傾ける姿が………美しい
「おはよう」
視線をそのままに声を上げた彼に挨拶を返し上体を起こせば其処が彼のベッドであると思い出した
…………唐突に襲った寂しさに耐えられず彼のベッドに押し掛けた昨夜………
決して広くないシングルベッドで私は爆睡を決めたが彼は窮屈だったかもしれない………
「あの……昨日すみません……」
「別に。」
「…………寝れました……?」
「うん…………あ、」
突然此方を向いて声を上げた彼は悠々とした所作でソファーから立ち上がると真っ直ぐ此方に歩みを進めた
何かを閃いた様な声色にじっと様子を伺っていると彼は軽々チェストを動かしベッドをぴったり隣同士に引っ付けた
「これで寂しくないでしょ?」
なんて言いながら小首を傾げた彼
ぴったり並んだベッドはダブルベッドに早変わりしたのだ
隣にいて良いと認められている様で純粋に嬉しくて
私の我が儘で彼に窮屈な思いをさせて睡眠妨害してしまうという事も免れる事は私を簡単に笑顔にした
「ありがとうございます!」
「別に。」
未だベッドから出ずに彼を見上げていた私だが彼は呟きと共に直ぐ傍に腰を下ろした
スプリングが軋んで音を経てる中彼は指先に寝癖で跳ねた私の髪を絡ませると
「今日はピクニックに行こう。」
単調に言った
急な接触にドキドキして固まっていた私だが其の言葉に笑顔に成る
見渡せば自然豊かな町並み
この村なら眺めの良い場所が沢山あるだろう
彼からのデートのお誘いに足取り軽く身支度に取り掛かる私を彼は只眺めていた