ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第41章 村のホテル
チラリと隣の彼を見遣ると彼は顎に手を遣って考え込む様にスマホを見ていた
何か調物でもしているのかもしれない………なんてぼんやりテレビに視線を向ける
1ヶ月の時間は私にテレビ番組を把握させすっかり好きな芸能人迄出来ている
私はやはりテレビっ子だ
今流れているのは先週始まったドラマなのだがこれが中々に面白い
なんて私がテレビに夢中に成っている内に彼はいつの間にかローテーブルにノートパソコンを開いていた
「……………イルミさんパソコン持ってたんですか………」
「………うん。」
カタカタとキーボードを叩く音、細めなれた目が忙しなく画面を見詰めていて私はその横顔に見入ってしまう
「…………何してるんですか………?」
「経費の算出と人件費の計算」
「人件費………?」
「…………もうひとつホテルを取ってる。ヨークシンでもそうしてた。家族が俺名義だと把握出来る事で居場所を教える為、居場所が把握出来ない限り変な勘繰りをされると厄介だから。その際は執事を通して予約させるし武器が足りなく成ったら発送してもらう様に成ってる……直接面会して関わらなくても人件費は発生するんだよ。」
「成る程…………」
まさか彼からもうひとつ拠点があると直接聞く事に成るとは思っていなかったがその理由に納得してしまった
……………全ては私を隠す為のアリバイ工作………
そして経費が存在するという事は私達が宿泊し、食事する事に関しては自腹だという事だ
「…………お手数お掛けしてすみません………」
私はどれだけ彼の負担に成っているのだろうと思った
私がいなければ使わなくて良かったお金を使いわざわざホテルを行き来しなくてはいけない手間……
本当に申し訳ない…………なんて考えている私に横目を向けた彼は
「馬鹿じゃないの?沙夜子が居なくても人件費は発生するし経費は貰う、ホテルだって2つ取る事も珍しく無い。」
溜息混じりに教えてくれた
彼は本当に私の思考を読んでくる
………そんなに私は単純だろうか………
いや、私は解りやすく彼が鋭いのだろう
「…………そうなんですか……?」
「ターゲットの種類によってはそんな事もあるし家には俺専属の執事だってわんさか居るから毎月人件費は掛かるよ。謂わば個人事業主と同じだから」