ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第41章 村のホテル
豊潤な赤ワインが喉を流れその美味しさに唸り声を上げた私だが
突然彼が私のポシェットに手を伸ばしたのでじっと見てしまう
別にやましい事は何も無いし良いのだが、今までに無い行動に視線を向けていると
「最初は調味料も必要だから5万ジェニー入れておく、次からは無くなり次第報告してくれたら追加しておくから。」
後ろポケットの財布から現金を取り出してお札を入れるのを見せながら言った彼に元気に返事をしていたのだがその声は途中で遮られてしまった
「外出は買い出し以外禁止だからね。制限時間だって時間一杯外出して良い訳じゃ無い。沙夜子は良く眠るから広めの枠を設けただけで目当ての物を購入したら速やかに部屋に戻る事…………解ったね?」
黒目がちな瞳が私の心を覗く様に向けられる
彼にしてみれば譲歩した不本意な状況
私が本当に約束を守れるのかと目線を向けている
……………確かに私はろくに彼の約束を守っていなかった
次こそは彼の優しさに報いようと頷けば彼の表情は緩やかな物に成った
テレビを付けてスマホを弄り始めた彼を眺めながらふとある事に気付く
……………ヒソカさんに居場所を伝えていない
私は与えられたスマホを手に取りメール作成画面を開いた
しかし………此所は何と言う村なのだろうか………
「イルミさん!此所って何て村ですか?」
「…………カサバナ」
余程スマホに集中しているのかぼんやり教えてくれた彼にお礼を伝えた後
【カサバナのホテルジャネットに移動しました!】
要点だけを打ち込んでメールを送信した
ホテル名はレストランにwelcomeと書かれた横に書かれていたので知っていたのだ