ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第41章 村のホテル
「………私の手料理は口に合いませんか?」
「……………そんな事は無いけど」
揺らいだ瞳を私は見逃さ無かった
…………少し大胆で恥ずかしいが彼との温かな食卓の為に腹を括る
「好きな人に手料理食べて貰いたいって思ったら駄目ですか……アパートにおった時みたいに美味しいって言われたいです………」
「……………。」
真っ直ぐ見据えて発した言葉に彼は視線を反らした
私の気持ちは届かなかっただろうか………
………以前も大好きな彼に手料理を食べて貰える事は嬉しい事だった
体力仕事をこなす彼の身体に成るのだと思っていた
恋人に成った今彼は家業をこなし、以前よりも身体を心配する事が格段に増えた
何も出来ない私でも彼の力に成っているのだと実感したいと思うのはいけない事だろうか
「…………イルミさん?」
私の呼び掛けに再び交わった視線の先
「…………解ったよ……但し条件を付ける。」
溜息まじりに頭を掻いた彼は続けて
「外出前、帰宅後に必ず報告する事、行き先も勿論報告。外出は午前10時から15時の間に済ませる事、何か変化があっても報告を怠らない事。この条件を破った場合罰を与える。良いね」
「はい!ありがとうございます!」
流石はイルミさん
独占的で束縛激しい条件だが外出を譲歩してくれる辺りやはり優しいと感じた
私も彼の力に成れるのだ
彼の身体を支える事が出来ると思えば自然に胸は弾んだ
……この世界に来た最初に与えられたルールは徐々に和らいでいるが彼はその事に気付いているだろうか
再び溜息を付いた彼に笑顔を向ければ
「さ、レストランに行こう」
優しく手を引いた彼に連れられて私達は部屋を後にした