第41章 村のホテル

同日16:32


私達は空港から車で2時間程掛けてのどかな村にやって来た

車は何処から手配したのか知らないが途中警察に追いかけられた経緯から正当な入手方法では無いのだろう………

髪を結えと言われたので纏めるとサングラスに鍔の広い帽子を深く被せられ、私は助手席にて懸命に親方のケージを抱えていた

ヨークシンから持ってきた荷物は後部座席とトランクにみっちり詰まっていていつの間にか彼の仕事道具や仕事着が混ざっている事に気が付く


…………彼はヨークシンにて仕事の素振りを毒に侵された姿以外一切見せなかった

つまり他にも拠点と成るホテルを借りていたという事だ

きっと今回も仕事着や仕事道具はいつの間にか部屋から消えているのだろう………


寂しく感じてしまう反面彼の気遣いにホッとしている自分もいて指摘する事は出来ないでいる

………指摘しない方が良いのだろうと何処かで思っているのだ



私達は再会を果たした街を抜けて思い出話に花を咲かせた

つい数日前の様に思えるのに再会の瞬間は思い出となりヨークシンの街は思い出深い地に成っていた



「此所にはどれくらい………？」


「また１ヶ月前後」