ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第40章 恋愛傾向
彼は特殊な家業で働いている
故に壮絶な過去を背負って今も尚制限のある生活を強いられている
………私の事を家族にひた隠しているという事は絶対的に認められないという事だ
家の為………そんな軸を持つ彼が家族に隠し事をしながら生きて行くのは辛い事なのでは無いかと感じた
更に彼と何かをする事でこんな些細な事にも触れずに生きてきたのだと思う事がある
幼い彼がどれだけの物を諦めて生きてきたのか………感情が希薄な原因もそこに有るのでは……なんて思えば胸がぎゅっと痛んだ
「………自分がカッとなったからといって急に怒りだすことはあまりありません………言いたいことがあってもぐっとこらえて様子をみる傾向にあります。A型男性は強い精神力や忍耐力を持っています………」
「………俺コーヒー入れるけど、何か飲む?」
ソファーから立ち上がった彼を仰ぎ見る
彼は確かに忍耐強い人だろう………だからこそ………心配に成る
人間なのだから誰しもが我慢をしているに違いないのだが彼はそれすらも感じさせない
私なんかに心配されているなんて彼が知れば鼻で笑われるかもしれないが大切な人なのだから心配しない訳が無い
……………怒ったり泣いたり笑ったり甘えたり………私の前では自分の感情をコントロールして欲しく無い……なんて
彼の心に踏入り過ぎた鬱陶しい願いだろうか
「…………じゃあ紅茶で……」
「ん、」
踵を返してキッチンに消える彼の背中を見送り続きの文字に視線を落とす