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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第39章 常識外れの水遊び





クリーミーなスープを口に運びながら私がそんな人物に成っている元凶の彼を見遣る


威風堂々とした上品な振る舞いに微塵の動揺も無く彼にとっては当たり前の待遇なのだと考えれば私は本当に運良く彼に出会い深い仲に成ったものだと実感した

こちらの世界で私が出会っていたとしても決して彼の目には止まらないのだと思えば私の幸運は奇跡的に感じる


「イルミさんは変わってますね」


何故恵まれた容赦に財力を持ち合わせた彼が平凡な私を選んでくれたのか私には解らない

だけど、奇妙なきっかけで出会ったからこそ深く彼を知れた事を嬉しく思った


私の言葉の意味が理解出来ないとばかりに眉をひそめる彼に私はありがとうと伝えた





_________"




昼食を済ませて野外プールにて私は彼に泳ぎを習う事に成った

クロールも平泳ぎも出来ないのに潜れるのならすんなり体得出来る筈だと彼は言った


「宜しくお願いします!」


「うん。じゃあ先ず手本を見せるから」


「はい!」


途端に上がる水飛沫



目の前の光景に短い悲鳴を上げる


私の目に映ったのは猛スピードでプールを一周する彼の姿だった



水の抵抗を一切感じさせない速度を例えるなら


………………イルカである………。



水中に潜って泳いでいる筈なのに水面には派手な水飛沫が上がり彼が人間かどうかすらも疑わしい……


彼の身体能力が秀でている事は理解していてもまざまざと見せられると人間離れし過ぎていて唖然とする他無く

お手本と言っておきながら何周も泳ぎ続ける彼を只眺める

一体何周する気だと気になるが、それよりも彼は本気で私に教える気があるのだろうか………



…………私が其のスピードで泳げるとでも…………?


大体今の泳ぎ方はクロールでも平泳ぎでも無い

何泳ぎと言うかも解らない………



超人技としか言い様が無い彼の姿を何処か遠くに感じながら佇んでいた私だが

スピードを緩めて直ぐ側までやって来た彼は沖縄の海での出来事を彷彿とさせる不自然な垂直で水面から顔を出した




「さ、やってごらん。」


なんて単調に言った彼だが


「私一生泳げなくて良いです。」


私は真っ直ぐに言い切ったのだった







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