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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第39章 常識外れの水遊び







彼はじっと私を見据えた後にコクりと頷き私のルール説明を静かに聞いていた


宝を持ってくると言って室内プールへ戻ってしまった彼を見送り、私はぼんやり水面に浮いている


見上げた真っ青な空が綺麗で大きな入道雲が流れるのを眺めながら心地好い浮遊感に身を任せる

全身の力を抜けば漂う様に浮かぶ身体、耳には水中の音だけが聞こえて何もしていないのにワクワクと胸が弾む様な、それでいてリラックスしている様な時間は穏やかに流れた


暫くしてプールサイドへやって来た彼は宝を10個用意したと話した

お手本を見せる要領で私から宝さがしをする事になり

彼が宝をプールにばら撒いたと同時に底へ潜る

私の説明通りランダムな場所へ投げ入れたらしく見渡せばキラキラ輝く物を発見した


(……………………………?!)



拾い上げれば硬い其れは真っ赤に輝き均等にカットされた石だった

水面に上がって一先ず彼に手渡す


「あの…………宝………」


「……?」


「何これ……私輪投げとか沈むボールとか言いましたよね」


「無かったからルビーにした。目立つ色だし」


単調な声で言い放った彼に絶句する

小学生の頃に水泳授業でしていた宝さがしは先生が投げ入れた良く解らない物を探すだけのゲームだった

それを彼としてみたら途端に大富豪の悪ふざけに豹変してしまったのだ

ルビーとは………宝石だ


宝と言ってしまったのは私だし彼の中では輪投げを宝と言う方が不思議なのかもしれないがいくら何でも常識を逸脱した感覚に目眩を覚える


彼は何も思っていないだろうがホテルのスタッフさん達は確実に私達を頭のおかしな金持ちだと思っているだろう……


なんて考えていると


「探すのは一つだけ?」


純粋に疑問をぶつける彼の声に私は乾いた笑いを残した後にプールに潜り無心でルビーを集めた




「次イルミさん!」


「うん。」


私の言葉にすんなりプールに入った彼が私をじっと見上げる


普段私が見上げるばかりで彼を見下ろす事は無く不思議な気分に成る




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