ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第38章 水着
「貸し切った。」
真っ直ぐプールを見詰める彼の横顔に目を見開く
……………貸し切った…………?
……………貸し切ったと言ったのか……?
ホテルのプールはホテル全体の公共施設の筈だ
それを貸し切ったという発言は目の当たりにしている光景から真実なのだと伺えるが
そのあまりもの常識から逸脱した現実に私は只立ち尽くしていた
私は彼と再会してから彼に随分甘やかされている
私の世界では決して手の届かない額のお酒やアクセサリー、水着だって厭らしいかも知れないが値札が万の単位を示していたのを私は知っている
彼はきっとそれだけ稼いでいるのだろう事は値札を気にする素振りを見せない辺り確実なのだろうけど
…………彼に一般常識は皆無だ
唖然と立ち尽くす私の手首を掴んだ彼はじっと私を見下ろすと
「遊ばないの?」
水音だけが響き渡るプールサイドで不釣り合いで可愛い言葉を落としながら首を傾げた
……………彼に一般常識が無いのは今に始まった事じゃない
いつまでも突っ立っていたって貸し切ってしまったものは仕方がない………
「遊びましょう!」
笑顔で見上げた先、彼は柔らかな表情を浮かべた