ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第38章 水着
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「プール楽しみです!」
「うん。」
水着の入った袋を下げて廊下を二人歩く
5つ目に開けた紙袋には私が2年前に購入した水着を少し大人びた雰囲気にしたまともな水着が入っていた
勿論これも黒だった訳だが………まともなのだから何も言うまい………
私達は各々プール前の更衣室で別れたのだが扉を開くと人の気配が全くしない事に奇妙さを感じる
見渡せば広い更衣室には数え切れない数のロッカーが並んでいるが人を見掛け無いというのは不気味な違和感を私に与えた
キョロキョロと見渡して端のロッカーを開いた私だが物音は開いたロッカーの扉が軋む音くらいで
私ひとりが時間の中で取り残されている様な錯覚をする
シンと静まり返った部屋に空調の音が響く中、私は早くその場を離れたくて急いで着替えを済ませた
たまたま今はひとりだったのだと心の中で言い聞かせていた私だが
どのロッカーも鍵が掛かっている気配は無くて鏡の前で姿を確認する事も無く私は走ってプールサイドへ飛び出した
「早かったね。」
なんて単調に言う彼だがプールサイドから見渡した光景の異様さに開いた口が塞がらない
「………………今日お休みちゃいますか………?」
広い空間には流れるプール、波を思わせる海の様なプール、お洒落な野外プール、ジャグジー等様々なプールが沢山あり彼の目当てのウォータースライダーは三種類ある様なのだが
何処を見ても遊泳している人は居らずシンと静まり返っていた
良く見れば売店、貸し出しの浮き輪、ウォータースライダーの係員さんはいるもののこの広い広いプールで遊びに来たのが私達だけなんておかしい………
………もしかしたらまだオープンしておらず私達はフライングで入ってしまったのでは無いだろうか……