第36章 水風船のヒトコマ

「で、何してたの。」


呆れた表情のまま私の傍にしゃがんだ彼は真っ直ぐに私を見詰める



………解っている


彼は特段狙って格好いい訳じゃなく元々見目麗しい上に私が水風船を投げてしまった事で色気を演出してしまった


しかし反則では無いだろうか……潔癖な迄に美しい彼が少し水に濡れただけでこんなにも雰囲気を変えるだなんて………


ぼーっと見惚れていた私だが




バシャン



「……………。」



顔に水風船を投げつけられて我に帰る


犯人はこの部屋に彼しか居らず呆然と見返せば


「お返し。」


なんて悪戯に笑うので瞬時に身体が体温を上げた


「あれは不可抗力……ですっ！」


真っ赤な顔を隠す様に傍にあった水風船を思い切り投げるが彼は軽々避けた後にまた私の顔に水風船を投げつけ、見下した様に鼻で笑った