第36章 水風船のヒトコマ

………………これは戦争だ…………


火蓋が切って落とされた




「覚悟！！！」



なんて威勢良く叫び彼に向かって投げつけるが彼は余裕の表情でそれら全てを避けて私へ攻撃を仕掛けて来る


やはり身体能力の違いは歴然で顔は勿論、いつの間にか背後に回られ背中に三発も食らってしまい私の投げた水風船は誰もいない大理石に弾けた



「俺に勝てる訳無いでしょ。」


なんて言う声に振り向き様に二発お見舞いしたが当たらず私の顔で水風船が弾けた


「……………。」



此所から動かないから当ててごらんよ。なんて余裕な態度は私の闘争心に火を付ける


両手を広げて首を傾げる彼に向かって無我夢中で投げつけるが彼は本当に一歩も動かずに全てを避けてしまい

更には私の投げた水風船をキャッチしてまたしても私の顔に水風船を投げた


悔しくも顔で弾ける水風船




割れた後に視界に映ったのは




「……ははっ」




心底楽しそうに笑う彼の姿だった





意地悪に笑ったり一瞬笑みを浮かべる事はあった

しかし今の彼は口元に手を遣って本当に楽しそうに瞳を細めていたのだ




その瞬間私は全ての戦意を喪失しぼーっと見惚れてしまう他無く

直ぐに無表情に戻ってしまった彼に


「おしまい？」


なんて首を傾げられて内心身悶えている内に三発も顔に水風船を当てられた



……………彼は容赦が無い