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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第35章 毒





尻すぼみに小さく成る言葉を紡げば彼は妖艶な眼差しを向けた


「さぁ、どんな顔するんだろう」


妖しく細められた瞳、薄く色付いた唇が意地悪に呟く


「前にも言ったよね、死に瀕した後は性欲が高まる」


「………イルっ…………」


私の声が途中で声に成らなかったのは彼が唇でふさいでしまったからだった


ドキドキと早い鼓動にテレビ画面の音を何処か遠くに感じる


柔らかな唇に乗って温かな体温が伝わり跳ねる心臓


優しい口付けは心迄溶かしてしまいそうに甘くたった数秒の触れ合いを随分長く感じた


ゆっくりと身体を離した彼と視線が絡まったその時





「だけど、まだ毒が残っていると危険だから今日はお預け。」





「………………え」





ドキドキと高鳴る胸はその先を期待していた様に意識とは離れた思考が心底残念そうな声を漏らした


……………散々思わせ振りな言葉を囁いた後にお預けだなんて……………


邪な思考よりも優しい口付けに乙女心がキュンとした私だが肩透かしも良い所だ





髪をかき上げた所から覗く意地悪に細められた瞳





…………私には解る……………


…………あの目は私の動向を探っている瞳だ


……………つまり彼は私をからかったのだ



「っ~~~!!!」



途端に体温が上がる顔

彼の言葉にキス以上を期待した胸

全て弄ばれ彼に振り回されたのだ

恋人に成った事で彼は以前より積極的に成った

それに伴い彼の意地悪もパワーアップしていた



………羞恥の分ダメージもデカい………




「イルミさんの意地悪!!!!」


側にあったクッションに項垂れて思い切り叫べば


「沙夜子は馬鹿だね。」


単調な声に馬鹿だなんて言われてしまい思い切り投げたクッションは空打って遠く彼方へ転がった


「意地悪!!!!!!!」



叫んだ瞬間唇を奪われてまた声を失う

ちゅっと音を経てた触れるだけのキスに固まった私に

彼は余裕の表情を浮かべて


「沙夜子のそういう馬鹿な所可愛いと思うよ」


なんて言うものだから先程迄の怒りは消え去って羞恥が怒涛の様に押し寄せた


「…………ズルいです………」


熱い顔を隠す様に俯いてポツリと呟いた私に彼はクスリと笑みを落としたのだった





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