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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第35章 毒







昨夜の彼の姿を思い出す

毒に耐性があるという事は毒を摂取し続けたという事…………

幼い頃から様々な鍛練を詰んで来た彼は広い屋敷に籠って子供らしい事も経験せずに成長したのだろう………


たまに垣間見せる彼のあどけない表情は育た無かった幼少期の彼の表情なのかもしれない……なんて思えば胸がぎゅっと切なくなった



「次はイルミさんが選んでください!!!」


「俺?」


心底不思議そうに首を傾げる彼


家で出来なかった事は共にひとつひとつやって行けば良いと思った

甘えるなんて概念も無さそうな彼だが私にはそんな感情も見せて欲しい


「はい!イルミさんが気になるやつが気になります!!」


「沙夜子は変わってるね。」


笑い掛けた私に彼は単調に呟いた


人混みを縫いながら進んでいた彼が唐突に立ち止まるのでつんのめる

彼に手を引かれていたので転びはしなかったが……

立ち止まった彼を見上げれば彼はじっと店を眺めていて

横顔から視線を辿った先

カラフルな色が渦を巻いたペロペロキャンディーがズラリと並んだ可愛いお店


「あれ、気になる」


ポツリと呟いた彼の声に今度は私が彼を引っ張って歩いた

彼は感情も希薄で考えている事もあまり話さない

そんな彼が私の言葉を行動に移してくれた事が純粋に嬉しかった


カラフルなペロペロキャンディーを購入した彼は私にもと購入してくれようとしたが、飴は中々無くならず飽きてしまう事を私は知っている為に半分こしようと提案した


彼が気になるのならその事実は置いておき、こういう物なのだと実際に感じて欲しいので飽きるだなんて言わなかった


道の端に寄ってキャンディーを見詰める無表情な彼の瞳が期待に揺れる



「いただきます。」



飴を食べるのに律儀に呟いた彼はパクりと一口噛り付いた

そもそも飴だと解っていなかったらしく小さく「硬い」と溢した


「飴ですからね」


「……………。」


想像と違っていたのか僅かに眉を潜めた彼だがペロリと舌で舐めた後に無表情を私に向けた




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