ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第35章 毒
8月13日
遊園地デートを中断した日から3日が過ぎた
あの日私達は帰宅した後にテレビを見ながら飲みに飲みまくり私は記憶を飛ばした
翌朝から彼は仕事へ出たっきりで帰って来たのは夜も更けた22時過ぎ
3日ぶりの帰宅に私は飛んで彼の元へ走ったのだが
視界に捉えた彼に違和感が込み上げる
「……イルミさん……?」
彼は普段と変わらず無表情だし特に怪我をした痕跡も無くシャワーを浴びて帰った様だった
しかし私の抱いた違和感は他にあり彼の呼吸が短く切れている事だった
「…………大丈夫ですか……?!怪我とかしたんですか!」
私の言葉に此方に視線を落とした彼だが何処かぼんやりした眼差しは私の不安を煽った
白いシャツの下にもしかしたら怪我を負っているのかもしれない……なんて思えば不安は莫大に膨らみ
彼にすがり付く事も出来ずに立ち尽くす
彼が強い事は知っている
…………だけどいくら彼が強くても人間なのだ
怪我をする事もあれば命だっていつかは終わる
目の前が真っ暗に染まる中
「……毒を使う念能力者が相手でね、既存の毒に耐性はあっても全てに対処出来る訳じゃない」
彼は言葉を紡いだ
……………毒……………
彼は以前毒に耐性があると話していた
しかしいくら耐性があっても人間である以上限界は存在する
乱れる呼吸は耐性の範囲を越えてしまっているという事で
ソファーに体重を預けて天井を仰ぎ見た彼の瞳はやはり朦朧としている様に見えた
初めて見る彼の弱々しい姿に冷や汗が背筋を伝う