ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第34章 遊園地と目撃
「それより、あれ何かな。」
ドキドキと高鳴る胸に俯いていた私だが彼の言葉に視線を向ける
彼が指差した先、見えたのはお化け屋敷だった
お化け屋敷とは言っても洋風な雰囲気の建物にオバケと言うよりはゾンビやドラキュラなんかが出て来る雰囲気だが、どちみち私の苦手分野に変わり無い
…………彼は結構なお茶目さんで悪戯好きな事を私は知っている
あの建物がお化け屋敷だと悟られたなら私を無理矢理にでも引っ張って行くだろう………
それだけは絶対に避けたい事態だ
「………あれは動物の館ですね。」
私はサラリと嘘を付いた
動物ならば彼は私に付き合っている節が強く然程興味が無いだろうと考えたのだが
「沙夜子見たいんじゃないの?行こう。」
彼は私の手を引いた
私の事を考えての優しい行動
実際には逆で私にとって地獄の館………
しかし動物と言ってしまった手前歩みを止めるのも不自然で咄嗟に付いた嘘に私は後悔していた
出来るだけゆっくりと歩みを進めてチラリと彼の背中を見たその時
先程より近くに迫ったお化け屋敷から悲鳴が漏れ聞こえて彼の動きが止まる
私に聞こえているのだから彼に悲鳴が届いているのは明白で
「悲鳴が聞こえるんだけど。」
背中を向けたまま呟いた彼に私はまたしても咄嗟の軌道修正を謀った