ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第5章 悲しみと驚きの一年
どれくらい飲んでいたのか追加で2本も瓶を空けて気が付けば日付はとっくに変わっていた
「なぁ………さーや」
「……なに……?」
突然藤木の声色が変わったのに気が付いた
「………元彼の事まだ好きやねんな」
「………え、……うん」
いつもふざけている人物が急に真面目に成ったのだ
落ち着かない雰囲気が辺りに漂う
「ほんま一途やなぁ…………」
「…………」
「あのさ、俺」
不味い。何かが不味いと思った
だけど言葉を発する事が酷く恐ろしく感じて妙に時の流れを長く感じた
「…………俺さーやの事好きやねん」
「………え」
藤木の言葉に耳を疑う
「ほんまはな、元カノともそれでギクシャクして俺が振った。……本気やねん。ずっとお前が泣いてるん見ててさ、俺やったらそんな泣かさんと楽しくおれんのにって……」
目の前にいる藤木は真剣な眼差しを私に向けていた
ずっと男友達だと思っていた
ずっと良い友人でいられる
私達は良い関係を築けているのだと
「………今は無理でもさ、ちょっと俺の事考えてみてくれへん?」
「………あの……「待った!早まるな!今は返事聞かんで!今はまだ友達で、俺は勝手に立候補しただけやし?」
いつもの様におどけた調子で言った藤木は
「いつでもやけ酒付き合うし、また襲撃するからな!」
またニカッと笑みを残して帰って行った
「…………え…………」
玄関を閉じた後にぼんやりしたまま立ち尽くした私はそれなりにサプライズなクリスマスを過ごした気がする