• テキストサイズ

ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第5章 悲しみと驚きの一年






先日ひっそりと過ぎた誕生日に郵便で届いた物は昨年の私が発注していた彼の世界にひとつしか無い写真集で


ちゃぶ台に広げた写真集に泣きながら話し掛ける何とも惨めな誕生日を過ごした


その写真集を親方に広げて見せる


「……おらんなっちゃったけど……覚えてる?」


親方は写真集を見るととことこと歩み寄り彼の顔をじっと見て2本足で立ち上がった

まるで覚えているとでも言うような仕草に滲む涙


「そうやんな。寂しいよな。………会いたいなぁ」


涙は枯れる事が無い


親方のケージ前でどれだけ泣いていたのか不意に聞こえたチャイムの音に力無く立ち上がる


今日はクリスマス


私はまだ何かを郵送していたのだろうか……なんて考えながら扉を開けばそこに立っていたのは藤木だった


「よっ!泣いてるな!」


「…………どうしたん……」


「クリスマスぶっ潰そうの会やろうぜ!お邪魔~」


「えっ!待って……!!」


困惑する私を置き去りにさっさと家に上がり込んでしまった藤木はワイン瓶を私に見せるとニカッと笑った


藤木は何時までも彼を想い泣いている私に付き合ってくれる優しい奴で普段散々付き合ってもらっておいて追い出す事は出来なかった


「………しかし………元彼の面影ありありやなぁ」


「だって………」


「………いやいや、良いんやけどさ、さーや飯食った?」


「………まだ」


「良かった!オードブルとチキン買ってきたから!藤木君気が利く~とか言うて良いよ」


「………藤木君気が利くー……。」


「大根かッ!まぁまぁ乾杯するか!」


部屋の中が一気に賑わう


私はグラスを2つ用意して座椅子を押し退けて向かい合って座った


「…………ちょっとは食えよ。前の可愛いさーやちゃんに戻らな!」


「なんやそれ」


「ごめんごめん!今も可愛いよな!」


「馬鹿にしてるの?!」


「ははっ乾杯!」


藤木はいつも明るく私の気を反らす



/ 1349ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp