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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第32章 優しい人







彼女が自身の元を離れてしまえばそれこそ友達だとぬかすヒソカの元へ行くかもしれない……


時計の秒針がやけに煩く耳に付く中扉の前で彼女の泣き声に声を掛け続けた


「…………沙夜子……中に入れて」


こんなにも必死に受け入れて貰おうとする自身の姿を誰かが見たら失神するかもしれない

だけどそんな事はどうでも良くて


只彼女を取り戻したかった


きつく縛れば反発されるだけだという祖父の言葉が蘇る

結果キルアは出て行った


彼女も例外では無い


自身から離れて行くなんて耐えられない…………




絶望を映す視界の中





ゆっくり開いた扉


涙に暮れる彼女が立っていた

いつの間にか乱れていた洋服の襟が肩を露出し青い痣を残していて其れが自身の手による物だと気付いた


大粒の涙を流しながら真っ直ぐに視線を向ける瞳は自身の手に落とされ針の有無を確認しているのだと解った


自身の手を警戒する事なんて彼女は一度も無かったのに……


ゆっくり両手を上げれば後退る彼女


……………行かないで………傍にいて………


「針は持ってない。俺は沙夜子を操ったりしない。」


真っ直ぐに視線が交わり彼女の瞳は俺を見た


「沙夜子の話し聞かせて?」


出来るだけ優しく彼女に届ければ彼女は自身の胸に飛び込んだ

柔らかく髪に触れると見上げた彼女の頬を優しく撫でる


彼女が恐怖した手


しかし彼女は心底愛しそうに頬を寄せた





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