ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第5章 悲しみと驚きの一年
彼が居なくなって約1年
また12月がやってきた
まだ彼の封筒はそのままで布団だって段ボールだってマグカップだってそのままだ
私の部屋はすっかりあの日に戻った様に冷たい空気を漂わせ
私はより一層痩せた
久しぶりに乗った体重計
私は15キロも痩せていた
最近鏡に映る自身の姿が怖くて軽く飛んでしまうが飛んでいる姿も怖くて自分自身のホラー具合に怯える日々を送っている
彼が居なくなって一度も切っていない髪は胸元迄伸びていて更に恐い
あんなに可愛かった勝負パジャマは毛玉だらけで薄汚れ
一式買い換えたピンクや可愛らしいフリルの下着は伸びきってくたびれ糸が解れている
別にどうだって良いのだ
彼が見ないのだから
カラカラと回る回し車の音
親方に話し掛ける
「ごめんな。ご飯遅くなって」
親方のご飯は彼の当番だった
彼は生真面目に時間を決めて親方に餌をやっていた
私だけになるとアルバイトの日は早すぎるか遅すぎる夕飯に成ってしまうのだ
可愛らしく頬袋を作った親方に笑みを向けながら
「お腹空いてたやんな……ごめん」
呟きを落とす