第31章 届かない言葉

「………ヒソカさんは私の友達です！ヒソカさんはもう私達に危害は加えへんってほんまに言ってくれました！！」


痛みに耐えながら懸命に声を上げる

執拗に警戒する事等もう無いのだと気付いて欲しい


「友達……？馬鹿なの？そんな事ある筈が無い。」


「友達です！！私、何もされてません！！！」


「謝れば過去の過ちが消えるなら俺は何度も謝るだろうよ………ねぇ、信用して裏切られるのは沙夜子なんだよ？」


「信用出来るって私は感じました！」






「…………俺の言う事は聞かないくせに………ヒソカの言葉は素直に聞くんだね………」


力無く腕を滑り落ちた彼の手

俯いて髪で隠れてしまった表情

小さな呟きが私には聞き取れなかった


「友達との外出を禁じられるなんておかしいです！！イルミさんだって私が危険じゃないんやったら良いんじゃないんですか…！？」


必死に言葉を届けようと上げた声に彼はゆっくりと針を持ったその指を上げた

途端に恐怖が沸き上がって震える手足

…………何故私の言葉を聞いてくれないの………？



「…………イルミさん………それで何する気ですか………」


彼と壁の隙間を震える脚で抜け出す

私を見据えて顔を上げた彼は見た事の無い冷たい雰囲気を漂わせ只無感情を向けていて背筋から冷たい汗が流れる