ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第31章 届かない言葉
間接キスだとか考えてしまうがヒソカさんは私をお友達と言ってくれたし何より命の恩人だし以前の出来事も頭の隅にはあるが悪い人物では無い気がする
ここで変に意識した方が恥ずかしい気がしてアイスクリームを一口貰えば甘酸っぱいパイナップルの味が爽やかに広がった
「美味しい!」
「でしょ、沙夜子のも一口おくれ♥️」
「どうぞ!」
私が差し出したクリームソーダのアイスクリームはヒソカさんの妖艶な舌に掬われて私は只アイスクリームをお裾分けしただけなのに不意にもドキドキしてしまった
彼への想いは変わらないが
「美味しいね♥️」
ニッコリ微笑むヒソカさんにドキドキしてしまった事にヒソカさんは気にしていないのに……お友達と言ってくれているのに……なんて少し罪悪感を感じながらも私は笑顔を返した
アイスクリームが無くなっても誰かと会話らしい会話をするのが楽しくてお喋りを楽しんでいると
「沙夜子ちゃんに言わなきゃいけない事があるのを忘れていたよ♥️」
ヒソカさんは前置きをしてから真剣な眼差しを向けた
「前にキミに酷い事をしてしまってごめんね。あの後凄く反省したんだ………それに………信じて貰えるか解らないケド今ボクはイルミと殺り合うつもりは無い。ボクは本当にキミと仲良く成りたいと思ってる♦️」
静かなトーンで語られた言葉
以前私を囮に使った事、これは許せない事実だ
反省……………もしかしたら反省していて申し訳ないと思っていたから私をバーで救ってくれたのかもしれない
彼と決闘するのが目的ならそもそもあの日私を人質に出来た筈だがヒソカさんはそうしなかった
真剣な声色や其の事がヒソカさんの言葉は真実なのだと思わせる
其れに仲良くなりたいだなんてこの世界で友達皆無の私には嬉しい言葉だし何より先程から過度に距離を詰めて来たりしない様子に誠意を感じた
「………やっぱり信じてもらえないよね………♣️」
沈んだ声に私は被せた
「いえ!信じます!これから仲良くしてください!」
私の声に笑顔を取り戻したヒソカさんは「ヨロシクね♥️」と手を差し伸べたので握手を交わした