ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第31章 届かない言葉
今はヒットしたという小説を読んでいるが永遠にソファーから動かない身体にじっとしているのが苦痛に成ってきた
「……………ホテル内やったら良いよな…………」
私は彼の忠告をやんわり変えてホテル内に出てみる事にした
いくらインドア派でも流石に嫌気が差して何時でも泣き出せるくらいに情緒が不安定な状態から脱出したくなったのだ
人の気配を感じたい。
ホテルの案内冊子にはプールやリラクゼーションマッサージ、エステなんて物があるが其れよりも目を引いたのは一階に組み込まれたセレクトショップだった
雑貨や小物を売っていると書いてあるし見てみたかった
私は身支度を整えて何の意味があるか解らないポシェットを下げた
中身は世界の違う保険証と彼と繋がる携帯
彼は私に現金を渡さないし鞄は買い与え無い
そもそも外出させる気が無いので仕方がない
意気揚々と立ち上がったその時予期せず部屋の扉が開いた音
メイドさんなら必ず事前連絡がある
彼が帰宅したのだ!と振り返れば其所にはまさかの人物が立っていて目を疑った
「ヒソカさん!!」
「やぁ♥️」
私の命の恩人にして私を知る存在が唐突に目の前に現れて駆け寄った
「どうしたんですか!イルミさん留守ですよ!」
そんな私に喉の奥で笑ったヒソカさんは
「キミに会いに来たんだよ、沙夜子♥️」
私の頭を撫でながらニッコリ微笑んだ
「なんでここに?」
「彼に教えてもらってね、沙夜子と遊ぼうと思って来ちゃった♥️」
彼の交遊関係は広く無いだろうし私を知る人物は数が知れている
私の事を会話に出してくれたのだと思うと嬉しかった
それに遊ぼうだなんて退屈過ぎる今の私には魅力的なお誘いで私は元気に頷いた