ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第31章 届かない言葉
人と会話出来ないという事は想像を越えて苦痛で空虚な気持ちになった
持参した以前の世界のスマホ
充電は出来るのでアルバムを見ると家族の姿に心休まる暖かな実家を思い出した
「……………寂しい……………寂しい"……」
呟きながら家族の写真を眺める私はホームシックで泣いていた
まだまだ慣れない愛着も沸かない部屋で孤独に苛まれ家族の暖かさが無性に恋しく成ったのだ
見渡せば無駄に広い空間が更に私を孤独にした
カラカラと回る回し車の音に私は何度も話し掛けた
彼とのノロケ話や今の心境等バリエーション豊富な話をした
親方は聞いてくれはしても返事は当たり前だが返らない
食べて眠って起きて誰も居ない部屋でぼんやりと陽が沈むのを見届け、只彼の帰宅を待つだけの日々
…………大体一週間も帰らないだなんて聞いていない
もしかしたらまだまだ帰らないかもしれない…………
電話の会話を思い出す
「いつ帰りますか………?」
『直ぐ帰るよ。』
「………それ昨日も言ってたじゃないですか………」
『待っていて。じゃあ』
短い通話はたったの1分
1日目から彼は毎度毎度"直ぐ帰る"なんて言うが一向に帰って来ない
一週間という期間はこの孤独が永遠に続くのでは無いかと思わせた