ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第29章 ドレスとワイン
彼に連れられるがままにフロアの中心迄エスコートされて腰に回された手
「あ、あの私ダンスとか踊った事無いんですけど……!」
はいと答えたもののダンスなんて経験が無い
無様に転んで彼に恥をかかせてしまうかもしれない………
不安から彼をじっと見上げれば
「腕を掴んで。俺に合わせていれば大丈夫だから。」
全てを払拭する様な言葉に彼の腕を掴む
彼に身を任せれば大丈夫なのだと素直に思えて
スタートした演奏に合わせて私達は踊った
社交ダンスはテレビなんかで見た事はあるが踊ってみると思いの外身体が密着してドキドキする
真っ直ぐにお互いから視線を外さずに踊るというのは何だか一心同体に成った様な気分に成って幸福を感じる物なのだと私は知った
終わった演奏に礼をした彼につられて私もお辞儀する
どれくらいの時間踊っていたのかは解らないが中々に体力を使った
「車回して貰うから此所で待ってて。絶対に他に誘われても踊っちゃ駄目だからね。」
フロアの端迄私をエスコートした彼は言い聞かせると会場を出て行った
…………夢の様な時間だった……
今も夢の中みたいだ
なんて余韻に浸りながらうっとり会場を見渡しているとフロアの端にドリンクを入れてくれるウェイターさんを見付けて私の頭は瞬時に切り替わる
「……ワイン!!!」