ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第29章 ドレスとワイン
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私は只辺りを見渡して其の荘厳な内観に目を奪われている
彼に連れられてやって来たのは洋画何かでしか見た事の無い舞踏会の会場だった
高い天井には華やかな絵が描かれて大きなシャンデリアが幾つも下がっている
広大な会場には色鮮やかにドレスが咲き生演奏のオーケストラが優雅な音色を響かせていた
赤い絨毯を踏んで長い階段を上がった中二階
可憐に踊る男女を眺められる席にて私達は食事をしている
「…………そんなに緊張しなくて良いよ」
なんて言う彼に
「緊張通り越して笑けます」
真顔で返す
こんな世界に縁の無い私は身なりこそ彼の仕立てで浮きはしないものの場違いな存在に思えてソワソワと落ち着かない
「何飲む?」
なんて差し出されたメニューの額に私は遂に笑ってしまった
ワイン一本130万が一番安いだなんておかしいにも程がある
「た、高いです……」
小声で言った私にふぅっと息を吐いた彼はメニューを取り上げるとウェイターさんにさっさと注文を済ませてしまった
「大した値段じゃないよ。」
確かに彼がそれだけ稼いでいるというのは容易に想像出来るのだが
染み込んだ庶民感覚の私には痙攣して卒倒しそうな額である
じっと視線を外さずに私を見ている彼はきっと私を驚かせたいのでも緊張させたいのでも無く楽しませてくれようとしている
……………何時までも固まったままでは彼もがっかりだろう………