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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第29章 ドレスとワイン







街の灯りに照らされて浮かぶ整った横顔に今朝のキスを思い出して溢れる美貌を持つこの人の唇が触れたのだと思うと指先から爪先迄鼓動が駆け巡った


「何。」


横目に私を捕らえた彼は普段と変わらぬ声色で問うが


言いたい事は山程あった

貴方がかっこ良すぎるだとか
花束を貰ったのは生まれて初めてだとか
素敵なドレスのお礼とか
これから何処へ行くのかとか

だけどどれも言葉には成らなくて俯く事しか出来なかった



無言のままに停車した車彼が車の扉を開くので私も開こうとレバーに手を掛ければ


「沙夜子、動かないで」


と言われてしまい呆気に取られて只彼を視線で追う

わざわざ車を回り込んだ彼は私の方の扉を開くと


「花束は置いておけば良い。こういう時は男にエスコートさせるものだよ。」


なんて言いながら手を差し伸べた

彼と隣合って座っているだけでドキドキと煩い胸が一際高鳴ってクラクラと目眩がする


「足元、気を付けて」


私の腰に手を回し素肌へ触れる彼の手

そして私の手をしっかりと取った彼は悠々と歩き始めた




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