ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第28章 コーヒーと初恋の人
言葉を紡ぎながらも頬に熱を帯び始める私とは裏腹に何時もと変わらない彼
「…………へへへっ」
だらしがなく笑い声を上げながら有頂天だった私だがふと彼は初恋経験はあるという事を思い出す
………………今は私と恋人なのだから当然私の事が好きという事だし………
………「好き」とは結局言われていないが…………今は置いておく事にして
彼の初恋とはどんな物でその人物はどんな人だったのだろう……
私の頭には自身なんて比べ物に成らない美人が思い浮かぶ
しかもその人と交際していないと言う事は想いは実らなかったという事で……実ら無くて良かったなんて考えてしまう自身の性格の悪さに嫌に成った
私は彼と特殊な出会い方をした為に印象的だろうし生活を送る事で徐々に通じ合う時間が有ったが
その人物は一体どんな出会い方をして彼のハートを射止めたのだろう…………
今の彼の一番は恐れ多いが私だ
離れろと言われても離れないが
モヤモヤと浮かんだ感情はジェラシーと似ている
「それ、一口貰っても良い?」
私のミルクティーを指差した彼にグラスを差し出しながらも頭の中は彼の初恋相手で一杯に成った
恋人と成った今、彼に其れを聞くのは鬱陶しい女だと思われる可能性もある
聞くか聞くまいか考え込む私に
「変な顔してどうしたの。」
グラスを差し出しながら彼は溜息を付いた
仮にも彼女に変な顔とは失礼だ
…………どんな醜態を晒していたのだろう……………
「あ、あの………イルミさんの初恋の人ってどんな人ですか……」
手元に戻ったミルクティーに視線を落としながら私は考えていた事を口にした
鬱陶しいと思われる事なんて普段から仕出かしていると開き直ったからである