ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第28章 コーヒーと初恋の人
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たっぷりと時間を掛けてパンケーキを食べた私達はその後
「コーヒーが飲みたい。」
道の真ん中で突如発言した彼に連れられて喫茶店へ入った
やはり彼はマイペースだ
彼が連れて来てくれた店は先程のパンケーキ屋さんとうって代わり女性同士がお喋りを楽しむ様な雰囲気では無く、常連客が通う様な静かで落ち着いた雰囲気の店だった
見たところ店主のお爺さんが一人で切り盛りする店は常連客らしき一人客がポツリポツリと居るだけで流れるクラシックが心地好い
運ばれて来たコーヒーとミルクティー私は一口飲み込んでその香りに溜息を付いた
「…………めっちゃ美味しいんですけど………」
「そう。」
コーヒーカップを傾けながら私を視界に捕らえた彼は
「たまに来るんだけどここのコーヒーが一番だと思う。紅茶は知らないけど美味しいんだね。」
なんて言った
彼はこの店を度々訪れているらしい
間接照明で外よりも幾分か薄暗い店内、蓄音機から流れるクラシックは静な時を刻み
ソファーで悠々とカップを傾ける彼の何処か妖し気な雰囲気と非常にマッチする
「…………イルミさん」
ぼんやり発した声は然程大きくは無かったが随分はっきりと響いた
「イルミさんって確か………今迄恋人がおった事無いって言ってましたよね」
「うん。」
「…………私……………初か、彼女ですか」
「うん。」