ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第28章 コーヒーと初恋の人
「イルミさんは何にしたんですか?」
「ホイップクリームにナッツとチョコレートのやつ。」
パンケーキだけで50種類もあるメニューから私はストロベリーホイップを選んだ
彼はと言うと行き道で私に語っていたパンケーキを選んでいた
そっかぁ~イルミンはそれを選んだのかぁ~さっき楽しそうに喋ってたもんねっ可愛いねっ!
なんて事は言えずに脳内に封印する
キョロキョロと店内を見渡す彼の瞳はキラキラと輝いていて私はそんな彼の姿にずっとニヤニヤしていた
(…………良いのか!?!?成人男性がこんなに可愛くて良いのか!?!?)
こちらの世界にやって来てから彼はとんでもない無法者ぶりを私に見せた
私の世界は平和だし当然その部分にギャップを感じた訳だが今目の前で無表情ながら瞳を輝かせているのも彼な訳で以前と何ら変わらない表情に胸がキュンとする
それに私と出会う以前から彼は暗殺者として人生を歩み、きっとアウトローな生活を送ってきた訳だし彼の知らない一面を知れた事に私は密かに喜びを感じたりした
暫くして運ばれて来たパンケーキはふわふわと厚みのある生地が6層も重なり真っ白なホイップクリームが惜し気もなく乗せられていた
私はストロベリーを頼んでいたのでホイップクリームに鮮やかな赤が沢山色咲き見た目も可愛い
彼のパンケーキはホイップクリームにちりばめられた様々なナッツとチョコレートソースが掛かったど真ん中のパンケーキと言う感じだった
しかしどちらもデカい………
パンケーキを前に一層輝きを増した彼の瞳
ナイフとフォークを扱う仕草は上流のそれなのに前にしているのがパンケーキだなんて不釣り合いでニヤニヤしてしまう
そして一切れ口に運ぶ際フォークに視線を落としている事で伏せられる睫毛や開いた唇から僅かに覗く舌が妖艶な色を放ち
彼は短時間でその表情を様々な物に変化させるのだ
何時まで眺めていても飽きないとはまさにこの事でぼーっと見惚れて固まる私に
「食べないの?」
彼はクリッと首を傾げた