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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第28章 コーヒーと初恋の人






………何と言うか


彼の異常性や歪んだ愛を露見させている様で私は何も言えずに立ち尽くしていた


彼が私を想い考えてくれている事は理解しているしひしひしと伝わって来る

そして以前から、ふとした瞬間に垣間見せる歪な愛情に私は気付いていた


「………沙夜子?」


真っ暗な瞳が私の様子を伺う


実行する気は更々無いが私がここで少しでも恐怖を滲ませたなら彼は私をもっと執拗に縛り付けるのだろう


……………………本気で泣き散らしたらなんだかんだでルールが緩みそうな気はするが





………………しかし!!!


私は既にそんな彼の甘い猛毒に犯されている

従ってこんな事くらい全然へっちゃらなのだ

真っ暗な瞳もキュートだと思えるし

我ながら中々に肝が座っていると思う


しかも私は元々インドア派だ






「……………買い過ぎですよ」


私はとりあえず感想を伝えた


「だって暇でしょ。」


当たり前だ。こんな何も無い部屋で二日間も放置されては暇にも程がある



「はい。めっちゃ暇でした……」


「これで暫くは退屈しないでしょ。飽きたら言ってよ。」


それは言い辛いかもしれないなぁ………なんて考えたがその時に成れば私は勝手に言うだろうと思う………


しかしこんなに物を宛がうなんてどれだけ私を放置するつもりなのだろう………彼は仕事なのだし文句を言ったって仕方がないのだが寂しくて嫌に成る




「沙夜子?」


黙りこくった私の様子を伺う彼に



「……それよりイルミさんが遊んでくれたら私は一番楽しいんですけど……」


少しだけ我が儘を言ってみれば


「出来るだけ早く帰るから。」


優しい声色であやすように返されてしまった


見渡せば大量のお土産の数々
これだけ在れば本当に暫くは退屈しないだろう


「いっぱいありがとうございます!約束ですからね!早く帰って来てくださいね!!」


彼が早く帰る様に心掛けてくれるという事、私を想ってくれた事が嬉しくて笑顔を向ければ

そんな私の反応に彼の瞳の奥に潜んだ猟奇は色を消した



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