ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第28章 コーヒーと初恋の人
7月31日
私は退屈な空間で只彼を待っている
時計が指すのは昼下がり
一昨日目を覚ますと彼はベッドに居なかった
そして待ち惚ける内に二日間が経った
スマホで通話したのは8回
8回共に私の着信に後から彼がかけ直してくれていて電話越しに会話を交わしているので無事だと把握出来る分安心感はある
しかし彼は何度尋ねても仕事がいつ終わるのか教えてくれないのだ
『ターゲットの動向によるんだよ。もし明確に伝えた時間を過ぎたら沙夜子が要らない心配をする事に成るんだから伝えられない。』
理由は理解出来ても後何件で終わるかくらい教えてくれても構わないじゃないか………
彼が居ないというだけで楽しさは99%も失われてしまうのに何も無い部屋でずーっと独りで出て来る食事を食べて家事をする事も無くあまりまだ把握出来ていないテレビを見ても退屈で仕方がないのだ
只暮れて行く夕陽を眺めて私は一体何をしているのだろうと思ってしまい
終いには人生の意味とは………なんて果てない哲学の世界に陥りそうに成る
料理の本は三回ずつ読んで飽き飽きしているし
メイドさんだって週をローテーションするらしく笑顔が素敵なお友達候補とはまだまだ会えそうに無いのだとホテル側が用意していた部屋出入りスタッフリストなる顔写真付きファイルで知った
なんだったらシェフの名前だって覚えてしまった