第170章 暗闇の中

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同日



20:37




彼女はいずれ元の世界へ帰る

期限は自身と同じ約一年


そんな事は彼女と再会したあの日から決まり切った事だ



除念師を使って俺の世界へ閉じ込めてしまおうかとも思ったけれど彼女の母親からの手紙が其れを制止した


『皆元気です。沙夜子を宜しくお願いします。』


其れだけが書かれたメモは手紙と言うには短く、同封された写真には自身の知らない痩せて目を泣き腫らした彼女の姿が写っていた

彼女はきっと家族に会えない事に苦しむだろう


針を使って家族を忘れさせてやる事も出来るけど異世界の去り際にすら針を刺せ無かった自身は彼女を操作する事に何故か抵抗があった



従って除念師は使えない



次に実現可能な案として自身も共に異世界へ渡る事

此方の方が手間は掛かるが仕方がない

彼女が他の誰かのものになるくらいならいっそ殺した方が良いとすら思うのだ

自身の出来うる手段を駆使してこの腕に堕とす事が先決だ


そう決めた日から個人的に抱えている情報屋を総動員にして念能力者を探し始めた