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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第169章 見えない未来







彼が目の前で消えた寒い寒い冬の日

私は世界の色すら失って

悲しくて只会いたくて泣いて泣いて泣き続けて


もう一度彼に会いたいとこの世界にやって来た



無機質な機械音を繰り返し聞きながら彼と過ごした幸福の日々を思い出す



夏の太陽に焦がされながら私は一心不乱に彼を目指した

先生が教えてくれたバーは彼へ繋がる手掛かりなだけで必ず彼と会えるという保証は無かった

だけど右も左もわからない私にはそれだけが希望の光で

人生で初めて野宿して山を越えた


全ては彼への想いが私を動かして


彼と再会した朝の事は今でも鮮明に覚えている

息も忘れるくらい嬉しくて……

……嬉しいなんて言葉では表せないくらい只ずっとずっと会いたかった


それからはずっと夢を見ていたみたいだ




「イル、ミさん"……っ帰りたくない……お願い………っ!」





彼に恋人だと思っていると告げられた時は天に昇る気分だった


彼の初恋は私で初の恋人も私だと知った


大好きで仕方のない人に愛される喜びを彼が教えてくれた


きらびやかな舞踏会で彼とダンスをして

遊園地で手を繋いだ

水風船で遊んだ時に彼の笑顔は私を瀕死に追いやった

森へキャンプにも行ったしピクニックもした

古城では嫉妬に涙したりもして

お誕生日のサプライズ

初日の出は気球から

贈られた花言葉は宝物になって



そして私達は身も心も結ばれた

雪の降る朝、彼からプロポーズをされた

嬉しかった

私は世界で一番幸せだと心底思った

砂漠と氷の世界は全て幻みたいに綺麗で

彼と過ごす毎日が楽しい分だけあっという間に季節は夏になった




「イ、ルミさん………っ!!お願い"出てよ!!」



広い広い部屋では私の涙声ばかりが耳に付く






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