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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第168章 私を待つもの






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猫足のメルヘンな浴槽は今日も彼が贈ってくれたバスボムで可愛いピンク色に染まる

身体を沈めてシュワシュワと溶けてゆくバスボムを手に閉じ込めて私は幸福の溜息を漏らした


溶け切るまで何の動物フィギュアが出てくるかわからないワクワクは彼がくれたささやかな楽しい時間


お昼間はぼんやり過ごした私だが絶品のディナーを堪能する頃には気分は移り変わり

今を目一杯楽しむ気持ちが復活したのだ


彼は今頃何をしているのだろう、なんてぼんやり考えながら時間を持て余す私は以前から随分と長湯をするようになった


プカプカと浮かんだ小さな動物はキツネグマの色違い

初めての動物に一人笑みを漏らしてから鼻歌を歌って


ぼんやりしている内に指先はふやけてシワシワになっていた


キツネグマを握り締めて浴室を抜け出せば湯気に曇った鏡



「よし、今日も半身浴終わり!」


彼がいない時間にも歴然と存在するビジュアル格差を少しでも広げない為に何と無く始めた半身浴は気付けば半年程続いている


ガウンを羽織って濡れた髪をバスタオルで拭って曇りガラスを覗き見た


肌が綺麗になったなんて効果は感じられないがきっと無駄では無い筈だと一人頷いて

そう言えば彼から連絡が来ているかもしれないと思い立つ



期待を胸に洗面室の扉を開いた私は握り締めていたキツネグマを手から溢した




「………………え、………何で………?」




広々とした静寂のリビングの真ん中



キラキラと輝くゲートが扉を開いて私を待っていた








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