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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第167章 夕焼けが眩しくて







地面に降ろされた私は生まれたてみたいによろけているが

兎に角、扉を開いてレトロなドアベルを鳴らせば店員さんが一人駆け寄って来た


「あの、すみません!13時30分で予約してたんですけど……」


正直遅刻も良い所だし口にするのも気まずかった

苦笑いを浮かべながらもおずおずと様子を伺う私に店員さんは表情を曇らせた


「大変申し訳ございませんが15分以上の遅刻はキャンセルとさせて頂いておりますのでお客様の予約は取り消されております」


頭を下げながら丁寧な口調で伝えられた正論に私は深々と頭を下げて店を出た

店員さんの背後、店はガランと人気が無く、扉を出た所で準備中に掛け替えられた札を発見した


凄く迷惑な事をしてしまった上にめちゃくちゃショックである


店内は口コミ通りお洒落で爽やかな雰囲気だった


…………ピザ…………


…………私達は楽しいデートをして美味しいピザを食べるのだと妄想を膨らませていた

美味しいね!なんて言い合いながら素敵な一時を過ごす二人を想像して

只其れだけでニヤニヤと頬が緩んで幸せ気分に成っていた私にとって自身の犯したミスは許されざる大罪だった



今私は絶望した顔をしているに違いない

だって心底自身に嫌気が差して悔しい気持ちで一杯なのだから


外で待っていた彼の元へトボトボ戻れば彼は察した様に何も言わなかった


「すみません、予約キャンセルになってました………」


「別に。」


「……ほんますみません」


「他探そう。」



優しく掬われた手が揺れる




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