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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第165章 涙と汗が交ざる時




________"




彼のドライヤーの音が止み、私の鼓動は止まった様な錯覚をする



空に成ったワイングラス達を見詰めながら自身の行動を振り返る


極度の緊張から解放されたくてアルコールはほぼ一気飲みだった

その後戦闘に必要であろう水分補給をして歯を入念に磨いた

勿論ボディーメンテナンスも入浴時入念に行い全ての準備は整っている






「寝る?」


「………はい」




髪を乾かし終えた彼がいつもの様に問い掛けて私の声は馬鹿みたいに震えた


まるで全身が心臓になったみたいに身体中が脈を打ち体温を上げる

足が小刻みに震えて床の感覚も無くベッドルームに消えた彼の背中をフワフワと追い掛けた



……今から私は彼を食べてしまうのだ……


ベッドルームの扉を潜った私はまるで選手入場の気分だった

リングの様にでかでかと横たわるキングベッドを前に一際跳ねる胸


パチンと消された照明の代わりにベッドサイドのライトが枕元をほんのり照らす空間が艶かしく感じて決意を固める様にぎゅっと拳を握った



おやすみなさいと言って5分くらいが過ぎただろうか……


すっかりチェストライトも消えた部屋で大きく息を吸い込んだ


このまま終わってなるものか……という彼への飽くなき愛がこの身体を突き動かす


ぎこちなくもおずおずと彼のシーツへ手を伸ばせば彼は長い睫毛を持ち上げて不思議そうに此方を見た


途端にけたたましく打ち鳴る鼓動をそのままに私の手はそっと彼の頬に触れた

自分が今どんな顔をしているかとか何処に触れているだとか何も解らないけれど私の身体は震えている


じっと注がれる視線は感情を読み解く様に闇に浮かびゆっくりと身体を近付ければ彼の双眼は静かに細められた


自身の鼓動ばかりが耳に騒いで彼の唇に一瞬押し当てた唇

そこからは只懸命に触れるだけのキスを繰り返す

作り物の様に美しい彼の唇は人間らしい温かさで何も言わずにそんな私を受け入れた





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