ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第164章 見えない冒険
あんな大冒険私もしてみたい!と酔っ払っている今だから思う
ワクワクと弾む胸と荒い鼻息、さながら気分は冒険家である
ピッと音が鳴った途端に明るく照らされた部屋はまるで朝陽が昇った様な高揚感を与えた
「新しい朝がやって来たねイルミ隊員!」
「…………。」
私の視界に映っているのは最早ホテルの一室では無く草花が茂ったジャングルだ
逞しい想像力により流れ出す濁流の川に巨大なワニ
「見える……見えるで!私には見える!」
「お菓子に変なクスリでも入ってた?」
…………なんてナンセンスな台詞だろう
私の心は幼き日に帰っていた
夕暮れた学校の帰り道友達と、この塀から落ちたらサメに食べられる!なんてごっこ遊びをしていた懐かしき日々
私は其れを熱く熱く彼に語った
彼は多分諦めていて俄然興味無さ気に聞いていたが私達の冒険は始まっている
ソファーは今木製の小舟で濁流の中を流れているのだ
「イルミ隊員危ない!!!!」
「…………。」
「間一髪やった……ワニが迫ってたで!油断せんといて!」
「強制参加なの?」
「クソッ………先は滝みたい……どうする……」
「どうして沙夜子は定期的に会話が出来なくなるの?」
「……こっち!!こっちに跳んで!!イルミン早く!!」
「……………。」