ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第164章 見えない冒険
暫くベッドで身悶えて勢い良く抜け出す
私が突然映画を見たいと寝起き一言目に発したかと言うと彼が購入してくれたDVDの中に気になる作品が幾つかあったのだ
しかし一人で見るのは少し寂しいし彼が帰宅したら一緒に見ようと決めていた
其れ等目当てのDVDを持って彼の後を追えば
……彼は優雅なお着替えタイムだった様だ
不意打ちで広がる絶景にカタンと音を鳴らしてDVDが手から落ちた
ヨークシンの街並みをパノラマビューで見せる広い部屋の中央で下着だけを残し惜し気も無く眩い素肌を晒す彼と目が合う
何度も繰り返し思い知らされる彼の完璧な肉体美を前にあからさまに狼狽えた私だが
彼は特に気にする素振りも無くジーンズに手を伸ばした
「なんだ、映画ってDVDの事か。」
「え、あ、はい!DVDです!」
これでもかと騒ぐ心臓を抱えたまま背中を向ければカチャカチャと響くベルトの金属音
私はとにかく床を凝視して時が過ぎるのを待っていた
彼は全く持って自身の見目麗しさを理解していない………ッ
私含め大勢の女子が心臓発作を起こす案件である
最早テロ行為だ………
なんて脳内騒ぎ立てる事で自我を保っていた私だが
「何見るの?」なんて耳元に落ちた囁きに両方の意味でドキッとしてたまらず奇声を上げてしまった
気が付けば音も無く至近距離に立っていた彼はジーンズに上半身裸のままクリッと小首を傾げる
「な、なんやっけ………」
なんて口から漏らしながらも全く頭は回っていない
彼の普段に無い行動に私は簡単にパニックになるのだ
今朝から彼は少し甘々モードな気がする…………
一体何が起きているんだ………?
……………ご褒美……………?
このまま壁ドン………?!?!
………からの…………?
なんて脳内に花が咲き乱れる最中
彼は私の様子にふぅと息を吐き出した
「……まぁいいや、ちょっと退いて貰える?邪魔。」