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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第164章 見えない冒険






07月10日





「イルミさん、映画でも見ませんか?」



私がそんな提案をしたのは寝起きから僅か5秒後の事


肌触りの良いシーツにくるまれて適度な室温に保たれた寝室は抜群に寝心地が良くすっきりと目覚めた

彼は昨晩知らぬ内に帰宅していた様で私が瞼を持ち上げた時には枕をクッション代わりにしてスマホに視線を走らせていて

彼が隣に居るだけで気持ちは簡単に舞い上がる


おはようより先に飛び出した提案に彼はチラリと視線を流す


「別に良いけど。」


然程興味は無さそうだが特段予定も無い様で淡白な声が響いた


グッと伸びをしながら欠伸を漏らした私とスマホを手放した彼



「昨日0時には寝たんだよね?」



そのままの流れで伸ばされた手が寝癖の付いた毛先に触れる


「……はい」


それだけで緊張してしまって上吊った私の声なんて気にも留めない彼は余裕な雰囲気を漂わせていた


何故不在であった彼が私の就寝時間を把握しているかと言うと彼が居ない時は必ずライフサイクルの報告をする様に言われているからだ

………正直そこまでしなくても……なんて思った私だが

彼から言わせると連絡が途絶えると解っていれば此方の手間が減る、と言われては拒否する理由は無い


白いガウンにサラリと落ちる黒髪



「もうすぐ11時だよ。」


「……はい」


「本当沙夜子はよく寝るよね。」



無機質な瞳と目が合えば柔らかく微笑む美しい姿に口から心臓が飛び出しそうに高鳴った


クルクルと戯れる様に長い指で毛先を弄んだ彼はそれだけ言うとベッドルームから出て行ってしまって

一方私は暗殺者の見せた穏やかな微笑みにひっそりと暗殺され掛かっていた



(………今日もイルミさんは私の太陽です……イルミサンシャイン!!!!)




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