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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第162章 夕暮れの遊園地






今の私は半身彼に抱き付く様にして恐る恐る前進している

彼はそんな私の背中にしっかり腕を回してくれていて

大好きな香りと温かな体温は私に絶対的な安心感を与えた


「そんなに怖がらなくてもホラーハウスじゃないよ。」


「……でも怖いんです……」


溜息交じりにやれやれと背中を撫でる大きな手が心地好くて本当は少し大袈裟に抱き着いているだなんて言えないけれど


何処まで続くのか解らない暗がりで只出口を探す


あの日感じた心細さの欠片も無く彼を見上げれば伏し目がちな瞳と視線が交わってドキリと早まる鼓動


…………きっと彼にはバレている


少し怖いのは本当だけど抱き付く程怯えてなんていない事


だけど彼は振り払う事無く通路を進んで

ああでもないこうでもないと行き止まりにぶち当たっても彼は直ぐに方向を変えて着実に歩みを進めた


ヒソカさんは私と同じ視点に立ち一緒に楽しんでくれていた様に思う一方彼は冷静に淡々と、それでも私を気遣いながら歩幅を合わせてくれていると感じる


何だかこの迷路は彼と歩む人生みたいだ……なんて大袈裟かもしれないけれど



「ここも行き止まりなら向こうだ。」


「……はい」



迷いながらでも彼とだから私は歩けるんだ




そしてピエロが私達の目の前に飛び出した時



すっと上がった彼の腕と崩れるピエロに私は小さな悲鳴を上げて



「眠らせただけ。」


なんて涼し気に言う彼に私は小さく頷いた




「ねぇ、イルミさん……このまま出口が無かったらどうしますか?」



「馬鹿じゃないの。そんな事はあり得ないし無いなら入り口に戻れば良い。」



見上げた彼は真っ直ぐに前を見据えたままそう言って


通路に零れる夕陽がもう直ぐ出口だと教えていた







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