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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第162章 夕暮れの遊園地







「凄い!!凄いです!さすがイルミさん格好いい!!」


私は勿論拍手喝采で彼に釘付けである


そんな当の本人は鬱陶しそうに艶やかな髪をかき上げて銃を下ろしてまるで何事も無かった様に景品を受け取ると私の手を引いて歩き出した


ドキドキと高鳴る私の視界には黒髪が夕焼けを反射して揺れる


いつの間にか傾いた太陽は賑わう遊園地をセピア色に染めて足元の影は長く伸びていた


彼の持ってくれている景品がカサリと音を立ててその然り気無い優しさに微笑んだ時


目の前に現れたアトラクションに私の欲望は瞬時に駆り立てられてしまって


「イルミさん、あれ一緒に乗りません……?」


私が指差したのは性懲りも無くウサギを模した乗り物がメルヘンなBGMと共にピョンピョンと跳ねているファンシーな物だった


途端に立ち止まった彼をおずおず見上げればゆっくりと肩越しに振り返った彼と目が合って

違う意味でドキッとした


彼が覗かせたのはびっくりする程今の場面には似付かない真っ黒な瞳だったのだ


怒りの感情は感じないものの……


サラサラと風に靡いた黒髪の隙間から


「懲りてないね。」


ポツリと落ちた呟きにタラリと冷や汗が流れた時

彼は私の手首をガッチリ掴むと唐突にズンズン歩き出した


私が希望したウサギは背後に遠退き彼の歩幅に着いて行くのが必死で私は最早小走りなのだが………



一体何処へ…………………?


私がしつこかった……と言うのは理解したし再度反省している


しかし彼の感情が一切解らない…………ッ


何処から見ても無表情かつ雰囲気も普段と変わり無く………

やはり彼が怒っているとは思えなくて只困惑を深めていると辿り着いたのは見覚えのある場所だった





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