• テキストサイズ

ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第162章 夕暮れの遊園地







「まずはジェットコースターですね、イルミさん!」


「うん。」



やんわり握られている愛しい手、隣から注がれる眼差しが擽ったくて私は前を見据えたまま一歩を踏み出した


移動式とは言え立派に建てられたジェットコースターの列に並んで数分


彼は発車したジェットコースターを見送った後に心無しキラキラとした瞳を此方に向けた



「ねぇ、実は最後尾が一番スリルがあるらしいよ。この間テレビで見たんだ。」


単調な口調で紡がれる凛とした声

乏しい表情には変わりないのに中性的で無機質なその顔は何処か楽し気で



「乗るなら最後尾が良いね。」



ポツリと呟いた彼はじっと列の先を見据えていた


その横顔は息を飲む程美しいのにあどけない台詞は彼の純粋さを醸し出している様で


あぁ、彼は今本当に楽しんでいるのだなと感じた途端に胸が切なく高鳴った



「じゃあせっかくやったら最後尾狙いましょう!」


「競争ね。」


「…………え、一緒に乗りましょうよ……」






彼には残念ながら私達は前列付近でジェットコースターを楽しんだ

それでも彼が楽しそうだったのが何よりで此方までワクワクと気持ちが弾み始める


そして私達は最早遊園地でお決まりに成っているアトラクションの前で立ち止まっていた



「ね、イルミさん乗りましょう!」


「……………。」



メルヘンなBGMにファンシーなお馬さん

その列に並んでいる大多数は親子だ


そしてそんなメリーゴーランドを遠巻きに私は彼を誘おうと必死だった

怪訝にしかめられた眉と眉間のシワ

本当に彼は不愉快な気持ちを隠す事をしない


しかし私は決してめげたりしない


彼が再びメリーゴーランドに乗る姿をこの目に焼き付けたい………ッ




/ 1349ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp