第162章 夕暮れの遊園地

07月03日



遂に7月に成ってしまった


私がこの異世界へやって来たその月だ


太陽がどの季節よりも生き生きと輝くこの時期を私は毎年楽しみにしていた

子供の頃からずっと大好きだった夏をこれ程迄に憂鬱に思った事は過去に一度だって無い



それもこれも全ては語らずとも理由はひとつだ



日に日に迫る別れは直ぐ目前まで近付いているけれど流れる時は変わらない


胸が裂ける……だなんて言葉にしてしまえば簡単だけれど


そんな無情な日々の中彼は何も語らず只私の元に帰って来ては傍で同じ時を過ごした



16:44



私達は子供やカップル家族連れ、様々な人で賑わう移動遊園地へと出向いていた

昨年やって来ていた遊園地がまたヨークシンで楽しいアトラクションの数々を展開していて

私達はキルア君ゴン君を目撃したあの時からのやり直しをしているのだ

とは言え彼が帰宅してからやって来たので時刻は夕方だけれど素敵なデートに違い無く

ワクワクと身支度を整えた私だったが

この世界でやり残しが無い様にリベンジをすると言うのは人生の身辺整理の様に感じて胸が痛かった


賑やかに風船が飾られたゲートを潜ればだだっ広いスペースには楽しい雑踏が響く


懐かしく重なる昨年の記憶にズキズキと胸が痛んだけれど私は彼の大きな手をぎゅっと握った



…………………彼と過ごす今を楽しもう…………