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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第161章 サイコなトラウマ








大好きな赤ワインが注がれたグラスを傾けながら幸福のため息を漏らす


ジュージューと煙を上げる野菜は全て彼自らが焼き上げてくれていて

私が、と名乗り出たが彼はトングを譲らなかった

私の大好きな人はとびきり優しい


こんな私を喜ばせ様とサプライズでこんなに素敵な用意をしてくれていたのだから


私は漏れ出る笑みをそのままに口を開いた



「それでイルミさん、あの水槽は何ですか?」


野菜が焼ける良い匂いの先で彼が悠々と顔を上げる




本当は最初からずっと気になっていた


BBQ使用のスペースの隣に膝くらいの深さのある巨大な水槽がずっと目に付いていたのだ


しかし怖くて聞けなかった


その中には大きくて立派な魚やカニ、エビが動いている


私が考えている通りなら答えは……



「あぁ、肉ばかりだと飽きるだろうから買い付けた。」


「買い過ぎですよ………」


やはり思った通りだった

彼は牛の他に沢山の海の生き物迄買い付けていた


しかも水槽や空気のポンプ迄この為だけに購入したと言うのだから最早笑ってしまう


二人では絶対に食べられそうに無い数の海の魚達



「今日食べられなくても厨房に回せば沙夜子も文句は無いでしょ?」



こんなに贅沢なBBQが他に存在するだろうか


お金を持ち過ぎると人はおかしくなってしまうのかもしれない………


なんて事は口が裂けても言えないが


平凡な私にはぶっ飛んだBBQは楽しく続き




「そろそろ魚でも食べる?」



野菜とお肉を食べ美味しいお酒に他愛無い会話が続く中


陽が落ちてすっかり夕暮れた景色の中白ワインの瓶を片手に見せた彼はクリっと可愛らしく首を傾げた


屋上が茜色に染まって私達二人だけでの世界が暮れて行く

艶やかな髪を纏めている事ではっきりと輪郭をみせる顔はその瞳からすっきりと通った鼻迄も全てが美しくて

街を燃やす様に赤い太陽よりも私は一瞬にして彼の姿に目を奪われていた

その長い睫毛や弓なりに整った眉

そして心地好い声を紡ぐ唇迄全てが愛しくて一心に見惚れる私に彼は呆れた様子で手を振った





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