第161章 サイコなトラウマ

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私達はその後も肉を食べた


彼は部位毎にこれは何処の肉だとかを説明してくれたけれど私は聞き流す事に徹した



「これはわざわざ違うのから買い付けたんだ、睾丸だよ、ははは」


「……………」




そして少々の胸焼けを覚える頃に野菜へとシフトチェンジした


丁寧に下拵えされた野菜



「………これもイルミさんが準備してくれたんですか？」


「手配はね、後はここのシェフにやらせた。」


「そっか……ありがとうございます」


「別に。」



艶のある野菜はその見た目に存分に新鮮さを残していて彩り美しい


「これは近場で有名な農家から取り寄せたんだ。足りないのは別から買ったけど……どれも新鮮だよ。」


「ですよね！この茄子ピカピカですよ！」


「……やっと笑ったね。」


「……え……」



チラリと此方を伺う瞳に誤魔化す事無く笑みを向ける


確かに私は笑っていなかった

それは仕方がない、だって頭がおかしいと思ったのだから


しかしどれだけ異様でも頭がおかしくても全てはBBQをしようと、私を楽しませようとしてくれたからで

野菜にまでこだわられた食材を前に私は先程迄の恐怖を手放していた

彼がサイコパスな事には変わり無くとも楽しまなければ損だろう



「楽しいですよ！ありがとうございます！」


「うん。」


彼の顔に漸く柔らかさが戻ったのが解った

それはきっと私もだろう