• テキストサイズ

ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第161章 サイコなトラウマ








肩越しにゆっくりと振り向いた彼が一体どんな行動を起こすのか私には予測が出来ない


バッチリ合った先彼の黒い瞳が僅かに細められてボソリと聞こえた小さな声は


「見付かっちゃったか。」


サスペンスに登場する犯人そのものだった



バクバクとうるさい心臓は彼への恋心に騒いでいるのではない



それでもスタスタと進む彼の動向に集中していると



「今日のメインはあいつから貰ったんだ、一応紹介しておくよ名前はガラル。」



彼は唐突に開き直り事もあろうに牛の亡骸の紹介をしたのだ

驚きと困惑、そして込み上げる恐怖で今にも泣き出してしまいそうだった


本当は彼も隠している気だったのだろう

テーブルからは見事に死角になって毛皮は見えない

けれど見付かってしまったのならばと単調ながらフランクに友人を紹介するノリで「ガラルこちら沙夜子」なんて言われてはゾッとする他無かった



「まぁ、もう死んでるけど。」




頭に浮かぶサイコパスの文字



(…………………ヤバい…………この人ヤバい…………)




見事な迄にサイコパスっぷりを発揮した彼はさぁ、と手を叩くと強引にBBQを再開した


さぁ、…………では無い


まるで地獄だ…………




「いただきます。」


「……………」


「早く食べないと冷めちゃうよ?」



………………ガラル………………


牛の名前が過って非常に食べ辛い……………


亡骸を見てしまっては尚更だ


異様だし彼はヤバい。



………………しかし普段から私達は知らぬ所で殺められた牛を美味しく食べているのだ

美味しく食べなければそれこそガラルにも悪い気がして


私は腹を括って強く手を合わせた



「い、いただきます!!」



命を頂いたのだから残さず食べなくては、と言う使命感が湧いたのだ


彼の行いは異常でもそれとこれとは別の話だと考えて私はシャトーブリアンを半ば無理矢理に口へ放り込む



「………美味しい」


「ね?」



………いや、めちゃくちゃ美味しいけれどこんなに後味の悪い気分は初めてだった………






/ 1349ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp