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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第161章 サイコなトラウマ







06月28日




私はイルミさんに連れられてとても見晴らしの良い場所にいる


仕事から帰宅したイルミさんは扉を開け放ったまま突然言ったのだ


「今からBBQするよ。」


……本当に突然の事だった



彼が帰って来たのだと認識してから僅か2秒程で放たれた言葉通り彼はツカツカとソファー迄やって来ると休む暇も取らぬまま私を引っ張り歩き出したのだ


ビュービューと吹くビル風が容赦無く私達に吹き付ける



……かつて私がこの世界にやって来て間もない頃彼はこの場所から私を抱えて隣のビルへと飛び移る驚異の運動神経と狂った感覚を見せ付けた


………そう、私達はホテルの屋上にいるのだ


あの日高所恐怖症の私に多大なトラウマを植え付けたホテルの屋上は彼の手配によりBBQ会場になっていた

中央にポツリと設置された網焼きのBBQコンロはシュールな世界を作り出し

海辺で見掛ける大きなパラソルはビル風に必死に耐えてバタバタと音を鳴らしている

そしてキャンプグッズの簡易的なテーブルセットは風に飛ばされない様に見たことも無いダンベルが置かれていた



「さ、何から食べたい?」


強風に煽られて美しいお顔にバサバサと長い髪が被っている筈なのに彼はクリっと小首を傾げる


「…………えっと……」


「やっぱりBBQと言えば肉だよね。」



…………マイペース過ぎる………


視界を確保出来ているのか全くわからないがコンロ横にデンと置かれたクーラーボックスを開いた彼は気にする様子も無くブロック肉を取り出して見せた


長いだけあり、まるで意思を持っている様に四方八方へと乱舞する黒髪

何故彼がそのままで平気なのか不思議だがBBQより先に彼の髪をなんとかした方が良い

私は元々ポニーテールだったので幸いだ



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